びび子の日記…

人生半ばで獣医師になった人間が、仕事のこと、将来のこと、愛猫のこと、日常のことなどを綴ってみました。

犬がウンチを食べる時・・・

ほとんどの犬にとって、食糞はあくまでも正常な行動である。でも、人間からしたらやっぱり不快である。できることならやめさせたい💦…と思っている飼い主さんがほとんどのはず。


まずは、なぜ食糞をするのかを考えてみよう。原因はいろいろだ。


1つ目は「嗜好性」、つまりウンチがおいしいから食べるのである。食糞は仔犬によく見られるが、仔犬は消化能力が未発達のため、ウンチの中に未消化物が残っていることが多い。食欲旺盛な仔犬にとって、そんなウンチはとても魅力的♡ この場合、成長するに従って食べなくなることが多い。また、成犬であっても、単においしいから食べているということは多々ある。特に、肉食である猫のウンチは、犬にとってなかなかのごちそうらしく、散歩中に落ちていた猫のウンチを食べてしまうなんてこともよく聞く。


次に「空腹」である。生まれつき食欲旺盛の子もいるし、飲んでいる薬などの影響で多食になる子もいる。そういう子は、とにかく自分の過度の食欲を満足させるために食糞をする。また、消化不良の状態にある子(例えば膵外分泌不全や腸管疾患など)では、足りない栄養素を補足するためにウンチを食べる。そして、十分な量の食餌が与えられていない子は、足りないカロリーを補うためにウンチを食べる。

 

3つ目が「関心を求める行動」。食糞をすると飼い主さんが自分に関心を寄せてくれることに味をしめると、次からは飼い主さんの関心を得るためにわざわざウンチを食べることがある。

 

そして、4つ目が「退屈」である。散歩や遊びが足りていない子や、留守番が長すぎる子などは退屈をまぎらわすためにウンチを食べることがある。


それから、まれではあるが、不安からくる行動のこともある。不安傾向の高い犬にとって、ウンチを食べることで不安をまぎらわそうとすることがあるのだ。

では、食糞をやめさせるにはどうしたらいいのだろうか?

まずは、なんで食糞をするのか、先にあげた中から原因を考えてみよう。食餌はバランスがとれているか、量は十分足りているか。消化不良を起こすような病気にかかっていないか。もしも、判断に困るようであれば、一度獣医師に相談していただきたい。そして、運動や遊びは足りているか、退屈な生活をさせていないかについても考えてみる。それから、大切なことは食糞をした時の飼い主さんの反応である。飼い主さんの関心を得たい子は、叱られることさえもご褒美になってしまうことがある。逆に、ウンチをしたこと自体を叱られたと勘違いしてしまった場合には、もっと急いでウンチを食べようとしたり、飼い主さんに見つからないようにトイレ以外の場所で排泄してしまうこともある。

また、食糞される前に素早くウンチを片付けてしまおうと、排便中にそばで待ち構えている飼い主さんもいるが、実はこれは逆効果(-_-) 犬は、そんなに慌てて奪おうとするなんて、自分のウンチはすごい宝物なんだと勘違いしてしまい、飼い主さんに取られまいと、出ているそばから、体をくねってウンチを食べるようになるかもしれない(実際にそういう子がいた)。そういう時は、排便をしたらすぐに大好きなおやつなどで離れた場所に誘導し、犬の気がそれたタイミングでささっとウンチを片付ける(もちろん無言で)のがベストである。2人で協力するとうまくいきやすいが、1人で始末する時は、大好きなおもちゃやおやつなどを遠くに投げて、取りに入っている隙に何事もなかったかのように片付けるとよいだろう。普段から「おいで」などの練習をしておくといいかも。


すでに、食糞をし始めてしまったら…、その時は諦めて、ぜひとも無反応を貫いていただきたい💩