びび子の日記…

人生半ばで獣医師になった人間が、仕事のこと、将来のこと、愛猫のこと、日常のことなどを綴ってみました。

患者さんとのお別れ

 行動治療で定期的に診ていたワンコが亡くなった。

 元々は攻撃行動が主訴で来ていたのだが、最近は、高齢のためか認知機能不全のような症状が目立ってきていた。肝臓も前からよくなかったらしいんだけど、近所のかかりつけの病院からは、「攻撃がひどいし、うちでは診られないから、全部そっちで診てもらえ」と言われ、すべての診療を拒否され、本来は2次診療を行うこちらの病院に通っていた。

 攻撃性があるために自宅でシャンプーやカットができず、毛玉だらけで困っていた時も、そのかかりつけ病院からは断られ、困り果てていた。衛生的にもよくないなと思って、本当はうちの病院ではやってないサービスなんだけど、看護師さんと一緒にシャンプーとカットをしたこともあったな。スッキリして、飼い主さんもとっても嬉しそうだったな(#^.^#)

 飼い主さんは日々弱っていく愛犬をそれはそれは一生懸命お世話していた。ちょっと前までご自身のお姑さんの介護をしていたらしく、愛犬に対しても本当に至れり尽くせりの手厚い介護をされていた。ご自身もご高齢で、さぞかし大変だったと思うが、来院される時はいつも明るく、「弱ってきているけど、今までできなかった抱っこができるようになって嬉しいの」って、笑いながらおっしゃっていた。本当に見習うべきところがたくさんある素敵な飼い主さんだった。

 今朝、飼い主さんから電話があり、昨夜から容態が悪いので診てほしいというものだった。急いで来てもらったのだが、診察室に入った時にはすでに心肺停止の状態だった。病院に着いて、車から降ろした時にすごく大きな呼吸を一回したとおっしゃっていた。それがおそらく最期だったのかな…。

 残念ながら、救急処置の甲斐もなく、二度と目を開けてくれることはなかったけど、容態が急変した原因はわからなかったけど…、飼い主さんの腕の中で逝くことができて何よりだったのかな…。飼い主さんは、「がんばったね、お家に帰ろうね」って、泣きながらも気丈にふるまっていた。

 最後に「ありがとうございました」って言ってくださったけど、こちらこそ本当にありがとうございました。

 1年間の思い出を本当にありがとうございました。